この度、宮川サトシさんの
【母を亡くした時、僕は
遺骨を食べたいと思った。】
を読みました。
この記事はこんな方にオススメです!
みなさんは「死」について
考えたことはありますか?
作品情報
著者 宮川サトシ
出版社 新潮社
貢数 188
読んだ動機
・タイトルが読みたいと思わせた。
・タイトルでの印象と
表紙のイメージが違ったから。
本のあれこれ
タイトルに驚くが、ホラーではない
正直、タイトルを見てゾッとしました。
ですが、表紙を見て
この本は優しい親子関係が
描かれているのかな。
このように感じました。
【遺骨を食べたい】
この意味だけを考えると怖いですが・・・。
深く考えると、それぐらい親子関係が良く、
母が死んだことを受け入れられない心境が、
この言葉に表されているのだと思います。
生き返って欲しいではなく、食べたい。
わたしには宮川さんにとって母の死は、
人生で最も恐れていた出来事だったように感じました。
亡くなってわかる母の偉大さ
宮川さんの母はがんで亡くなりました。
がんになる前まで、宮川さんは母に対して
素っ気なく話すことが多いようでした。
しかし、母ががんになったことで心境が変わりました。
以前、宮川さん自身が病気で入院したことがありました。
その時の母の心境と重ねていたのだと思います。
そこからは、ほぼ付きっきりで生活していました。
母が亡くなってからは、様々な思い出が
宮川さんに蘇ってきます。
もう母は生きていない。
亡くなってからわかる母の偉大さ。
受け止めきれない気持ちが強くなっていきました。
母の死後、家族関係の変化
宮川さんは父・兄ともに家族関係は良好でした。
父は母の死後、何も手につかない状態でした。
兄は近くに住んでいますが、母の死後は素っ気ない。
母の死後、溝ができたように感じていました。
しかし、兄が母の死を後悔していることや、
針のついていない形見の腕時計を
使っていることを知りました。
誰もが母の死を悲しんでいる。
家族関係は再び戻っていきました。
妻との夫婦関係の変化
作者の妻とは母の闘病中に結婚した作者。
結婚の決め手は、病室でのある出来事がきっかけでした。
母はあることを内緒で妻に託していて、
一本の電話でそのことを知った宮川さん。
その電話が宮川さんの気持ちを変えるきっかけとなり、
夫婦関係の変化にも繋がりました。
母は、夫婦に何を残して亡くなっていったのか。
読んでみてのお楽しみです。
終わりに
わたしは夫婦関係は良好ですが、
はっきり言って親子関係は微妙です。
微妙だから地元から出てきた
といってもいいくらいです。
そんな両親もいつかは死を迎えます。
親子関係が微妙でも、きっと悲しくて
後悔するのだと思います。
親子・夫婦ともに死ぬまで後悔のないよう、
一日を大切に生きたいと思った作品でした。
映画化もされているので、
ぜひ、ご覧になってください。